2003年2月11日(火)昼公演
2003年2月11日(火)13時開演
新名古屋ミュージカル劇場 1FL列下手
新名古屋ミュージカル劇場 1FL列下手
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ハンス・クリスチャン・アンデルセン |
石丸幹二 |
マダム・ドーロ |
高久舞 |
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ペーター |
有賀光一 |
ニールス |
坂本登喜彦 |
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男性アンサンブル | |||
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校長・ホルム |
松宮五郎 |
町長・船長 |
川地啓友 |
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警官・リク |
喜納兼徳 |
オットー |
立岡昇 |
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バレエダンサー/街の人たち/村の人たち | |||
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松島勇気 |
趙宇 |
李濤 |
幸田亮一 |
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井水類 |
徐元博 |
武見龍麿 |
齊藤翔 |
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女性アンサンブル | |||
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外国の王女 |
佐藤匡子 |
セリーヌ |
菅本烈子 |
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アンナ/ラース/バレリーナ/街の人たち/村の人たち/子どもたち | |||
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大月悠 |
北涼子 |
水井博子 |
山崎ゆみ子 |
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増嶋あゆみ |
鷹栖千香 |
戸田真美 |
石野寛子 |
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里吉涼子 |
荒井香織 |
西田桃子 |
大徳桃子 |
何度も観るうちに分かる楽しみももちろんいっぱいありますが、「初めて」は一度きり。
もともと坂本さんのバレエと演技を見るために決めた観劇。そして初日のキャスト発表で、キ ャッツ大阪公演のキャストが7人も入ったのでアンサンブルを観る楽しみもプラスになったわけ ですが、作品そのものが予想以上に素晴らしく、良い意味で裏切られました。
1幕
<オーバーチュア>
キャッツ以外の演目を観るようになって気がついたのですが、オーバーチュアで「照明で幕の色・模様を変えながら、メドレーを演奏する」のは定番らしい。今回もそうでした。
なにしろ初めてで一曲も知らないので、ここはドキドキしながらもただ聞いているかんじ。
(以下、プログラムにも曲名、シーン名などなかったのでタイトルは勝手につけます)
<オーデンセで>
子供たちとハンスの笑い声とともに幕が上がります。
下手と中央の少し高くなっている位置に一つずつ建物のセット。子供たちと遊んでいたハンスが建物に続く階段に立ち、歌い出します。「ハンス・クリスチャン・アンデルセン」・・・そうか、名乗りから始まるのか・・・
最初の歌から"親指姫"までセリフ、歌、ダンスがテンポよく切れよく展開し、あっという間に物語の中に引きこまれました。子供たちの中には、男の子もいますが、演じているのは女性アンサンブルです。大月悠さんは赤い帽子の男の子。ハンスが投げた帽子を拾った男の子のジャンプ、"親指姫"でのアンナのソロなど、ところどころバレエっぽい動きも入っています。
子供たちの衣装はグリーナウェイの絵本のように、凝っていてかわいい。デンマークにはこういう衣装を着たお人形が本当にあるようなイメージです。
ハンスの弟子ペーター役の有賀さんは小柄で見るからに「少年」、ハンスが大好きで一生懸命とりなそうとしている様子がけなげ。歌声は意外に大人っぽく深いです。
ハンスはもっと天然な人かなあと思っていたのですが、校長先生の立場を考えたり、意外と大人です。ストーリーを読んだときにはオーデンセを「追い出される」感じかと想像していましたが、結構
明るい旅立ちでした。
<コペンハーゲンへ>
歩いていくにつれてカーテン式の背景が変わるのは「人間になりたがった猫」に似ていると思いました。花かごをもった女性4人のダンスがきれい。
やがて港の灯りが見え始め、コペンハーゲンの町へ。オーデンセでは若手の男性アンサンブルはいなかったので、ここから確認開始(苦笑)。緑のジャケットに赤いタイの男性が李さん、白Tシャツ・ネイビーのジャケット・オレンジ系の細長いスカーフ(?)が幸田さん、オーバーオールに白い帽子の二人のうち1人が趙さん。しかし、徐さん行方不明。絶対目立つと思ったのに。井水さんは若い警官役。最近「制服」づいているなあ。
女性では佐藤匡子さんを探したのですが・・・分かりませんでした。
ここでハンスとマダム・ドーロの出会いのシーンがあります。ドーロは白い帽子・ドレスで舞台中央の橋に登場。侍女(セリーヌ)が「ご主人のご機嫌が」と言っています。ハンスがこれをちゃんと聞いていればドーロが結婚していることは分かったのに。
"ワンダフルコペンハーゲン"
この曲は3拍子なので、少しゆったりしたワルツ調のペアダンスあり、男性中心のダイナミックな振りあり、と楽しめます。
ハンスの想像力とお話は、コペンハーゲンでは子供達だけではなく、大人たちの心も捉えているようです。ナンバーの終わりには警官が「ようこそ、コペンハーゲンへ」とハンスに手を差し出し、子供たちもごあいさつ。コペンハーゲンの町に受け入れられたハンスの新しい生活が始まります。
<プリマの新しい靴>
子供たちを学校に送っていったハンスと入れ違いに、ニールスとオットーが登場。ニールスはベージュのフロックコート、シルクハット、黄色のタイ。とてもよく似合ってはいますが、バレエの稽古途中で外出するのに正装するんですね・・・まあ、そういう時代なのでしょう。
坂本さんの声は台詞で聞くと歌よりも明るめ、高め。聞きよいし、抑揚もなかなか。
コペンハーゲンの人皆の憧れの的、マダム・ドーロですが、夫で演出家のニールスにとっては突如「理由の分かったためしがない」ことを言い出して困らせる、そんな面もあるようです。
<オペラハウス>
ロイヤルバレエ団の稽古場。男性ダンサーは李さん・幸田さん・趙さん。もう一人は、松島さんですね。
女性はバレエの衣装を着て、シニヨンになってしまうと誰が誰か区別がつきにくい。
佐多達枝さんの振り付けのバレエ、ということで、どんな感じになるのかな?と思っていたのですが(
そんなにバレエに詳しいわけではないのですが佐多さんは「創作バレエ」の方なので)オーソドックスな、ゆったりしたクラシックバレエでした。パ・ド・ドゥで女性が回転するところでは男性は本当に両手でクルクル回しているんだ・・・まるで「ろくろ」を回しているようだ・・・
は。普通、こういうところでは女性を見るんですよね(汗)。
ニールスのアラセゴンド・トゥールがあったのはうれしかった。32回転ではないし、ダブルカウントの回転は入らないけれどちょっと坂本ミストを思い出しました。
途中でドーロは「靴」を気にし始め、座り込んで踊りをやめてしまいます。ニールス、イライラするのはよく分かるけれど、外部の人(ハンス)に八つ当たりしないように。・・・で、そのガウンはいったい・・・体を冷やさないようにガウンを羽織るのはいいとして、なぜ「赤」?
ニールス自身も穏やかというよりは、品はいいけれど我が強くて感情の起伏が大きいタイプだと思うのですが、自分ではドーロに振り回されていると思っているところがなんだかかわいい。
そして結局はドーロにベタ惚れなのね。
ドーロがハンスにむける笑顔が印象的でした。
自分ではすごくこだわっていることを「分かってもらえた」とぱっと明るくなる表情。
坂本さんの歌の声は4ヶ月ぶり。今回はジャンプしながら歌っているわけではないので、普通に上手です(どういう表現だ)。声の響きはもともと好みですから。
高久さんは、もう少し安定した声だとよいのですけれど。
が、しかし、なんというか、ラブラブです・・・うっかりグラスで観ていたので取り落としそうになってしまった。この雰囲気の後でいきなり「いぢわる」になるニールス。
ひっぱたかれても仕方ないのでは?まあ、叩き返していますが・・・この「手を上げる」というところ、アルプでストーリーを読んだときは、「いったいどこを?」というのがちょっと気になっていました。いくらなんでも女性の顔を殴るのではひどいと思うし。ある意味安心しました(?)それにしても喧嘩っ早い夫婦だ・・・
<マダム・ドーロに捧げる>
ドーロとニールスの大喧嘩を見て(先に手を挙げたのは実はドーロなのですが)、ドーロを助けなければ、と思い込んでしまったハンスは「人魚姫」の物語を書き上げます。
このあたりから弟子ペーターの方が「大人」に思えてくる。
そこへドーロとニールスが連れ立って登場。この二人、けんか以外はダンスシーンでなくてもひたすらぴったりくっついているし、よく手を取って見つめあってます。客観的に見れば仲のよさは一目瞭然なんですよね。ハンス、現実認識能力に問題が・・・でも、真剣で、純粋な想いもよく分かります。そしてまさかこんな渡し方(まずニールスが手に取り、その後ドーロが受け取る)になるとも思っていなかったのでしょう。そりゃへこみます。
・・・ところで、バレエシューズの代金は結局受け取ってないですね?
二幕
<みにくいアヒルの子>
二幕は再び『ワンダフル・コペンハーゲン』のダンスシーンで幕が上がります。
アンサンブル確認。徐さんはつぶれたシルクハットにダブダブのコート、という妙な服装でした。でも笑顔はピカイチ。
病気で髪を剃っているのでいじめられている少年、ラース。帽子で頭を隠しているのですが、子供たちはその帽子を取り上げてからかいます。
ハンスは「君だけの特別な話」だと「みにくいアヒルの子」のお話をはじめます。
最初の「親指姫」もそうなのですが、ハンスはつらい目にあっている人に寄り添う気持ちと包容力がちゃんとある大人です。
いじめられるアヒルの子の様子に顔をそらしていたラースが、最後に元気を取り戻し、帽子を脱いだ笑顔がとってもいいです。心配していた周りの大人たちもほっとした様子。その後、修理した靴を受け取りに来た若奥さんが佐藤匡子さんのなのかな?
ハンスの仕事道具の上には、たくさんのバレエシューズがつるされていました。『誰より深く愛している』1幕ではドーロ・ニールスが歌っていた同じフレーズをハンスは1人で歌います。「あなたのすべてを」うーん、でも・・・ハンスが見ているのはドーロの「何」なのだろう・・・
新聞社の編集長=ラースのお父さんが「みにくいあひるの子」を新聞に載せたいとやってきます。2時間後の締め切りに間に合わせる為、一心に原稿を書くハンス。
やがてラースと友達のエルサ、ソーセージ屋、警官、新聞屋(趙さんともう一人)、マッチ売り、牛乳屋など、町の人たちが広場にあらわれ、何事かとハンスの周りに集まります。スポンジケーキ(?)を高く積み上げて転びそうになるコックさんは・・・だれだろう?
最後に、橋のむこうからやってきたのは、ドーロとニールス。「アンデルセンさん」と声をかけたニールスにもみんなが「シーッ!」。このときの二人のリアクションはあまりよく見えなかった。
その後二人はハンスに「人魚姫」のバレエ公演に語り手として出演してほしい、と依頼します。
ドーロに対していちいちストレートな反応をするハンス、それに突っ込みを入れるニールス。
でもハンスが出演を承諾する方向に話が向かうと、ニールスの表情がどんどん「演出家」になって行くのも面白いです。
<人魚姫>
いよいよ劇中バレエです。
ミュージカルの中で、歌・台詞のないバレエがどんな風に演じられるのか、と思っていたのですが、実際にはハンスの語りがあるので、通常のバレエ公演ともまた違います。
ストーリーの進行は語りで、人魚姫の感情表現はマイムと踊りで、という手法は時間が限られている中ではとても有効だと思いました。衣装・振付がクラシックバレエとは少し違うので語りがあっても違和感はないです。
幕が開く前のシーンで、人魚の衣装や「あんこう」が出てくるのも、メインのストーリーとその中で「演じられる」バレエをつないでいます。
難破したときの王子の衣装が赤・黒で結構かっこよさそうなのですが、ここだけなのはもったいないなあと思ったり(この後の王子の衣装は白とシルバー)。王子を助けるのが外国の王女ではなく、4人の漁師なのは意外でした。
深海の生き物の動きには結構笑いも出ていました。これも普通のバレエとは違う演出です。いろいろな表現があると思うのですが、ミュージカルの流れの中ではこれも良いのかも。
宮廷のダンスでは、男性アンサンブルのちょうちん袖(死語かな・・・)の衣装が幸田さんに妙に似合っていて、一瞬「王子か?」と思ったり。幸田さんはブルー、李さんは薄い緑色でした。
坂本さん=王子と佐藤匡子さん=外国の王女とのパ・ド・ドゥ。ミスト・ヴィクでは雰囲気が一番好きなので楽しみにしてました。
外国の王女はいわば人魚姫の恋敵なのですが、匡子さんの王女は、人魚姫と同じくらい恋する気持ちに溢れていて、一緒に踊るときは幸せいっぱいの表情で、かわいらしい(人魚姫のことは眼中にない、ともいう)。王子も、人魚姫と、王女と、どちらに対してもぎゅっと抱きしめるような振りがあるのですが、「ぎゅっと」感が違う。こちらも恋している顔。
そして、王子を殺せば人魚に戻れるという姉たちの声(これはハンスの語り)に、人魚姫は一言の台詞を言います「いや、できないわ」と。
本来、バレエに台詞はありません。でも、ミュージカル「アンデルセン」の中のバレエとしてこれはあり、だと思いました。時間が短いのでいろいろな要素がそぎ落とされていても、海の泡になるしかなかった人魚姫が、永遠の魂を得ることができた、という展開が唐突でないのは、高久さん・坂本さんのバレエの表現の素晴らしさの上に、最後のこの台詞があってのことと私は思います。
そぎ落とされた、といえば、このバレエの中では、人魚姫が声を失っている、ということは語られていません。最後の一言以外セリフも歌もないので、声のある・なしの表現はあまり意味をなさないのかも知れません。
<再びオーデンセで~フィナーレ>
オーデンセにもどったハンスは、みんなに「マッチ売りの少女」を聞かせています。
終わって「今日はもうおしまい」というハンスに、校長先生まで「もうひとつだけ」と頼み、始まるのは「裸の王様」です。このナンバーが一番お気に入りかも。「王様」「詐欺師」「お后」など、子供たちが演じながら次第に周囲の大人も巻き込まれ進行していくのが楽しい。1幕のオーデンセでは登場しなかった若手の男性アンサンブルも町の大人として入ってのダンスはダイナミックです。
その後、国王フレデリック6世の命でやってきたドーロによって、ハンスは「物語の王様」の称号を授けられます。
「ハンス・クリスチャン・アンデルセン」
全体を通して、何度も、そしていろいろな感情を込めて歌われてきたハンスの「名前」が、ラストにもう一度繰り返されます。喜びと誇りをこめて。
<フィナーレ>
ニールス・ドーロの「人魚姫」の舞台衣装でのダンスがもう一度ありました。ここでは坂本さんの表情が「坂本ミスト」になっていました。口あけて笑った顔でジャンプ。
この日は満席。開演2日目にしてスタンディングオベーションもあり、ちょっと驚きました。
バレエが売り物といっても、ミュージカルだしボリューム的に少ないのでは?と思っていたバレエが、1幕のオペラハウス、2幕の「人魚姫」、そしてフィナーレとたっぷり楽しめました。
役者さんが演じている役が、さらにバレエの中での役を演じる、という二重のドラマも面白いと思いました。
歌と踊りで語られるハンスの物語はミュージカルナンバーらしい華やかさ、楽しさがいっぱいでしたし、"親指姫""みにくいアヒルの子"、そして大勘違いだったけれど"人魚姫"の物語は誰かのつらさに寄り添い、励ますために語られます。自分がハンスに「大丈夫」といってもらったような幸せな気持ちになりました。 ・・・そして、坂本さんの「声」がセリフでも歌でもたくさん聞けて、さらに幸せ。 ストーリーでは、パートナーのある身として(苦笑)、ハンス・ドーロ・ニールスの関係にウエ イトを置いて見ていたと思います。 どんなに仲の良い夫婦でも、分かり合えないことはあるし、それを感じているときに違う点か ら理解を示してくれる異性がいたら。逆に自分のパートナーにそういう相手が現れたら、と。 高久さんのドーロは、ハンスが理想化している「マダム・ドーロ」としては雰囲気がぴったり だけれど、うまく踊れないのを靴のせいにするところや、ハンスに優しくするところなどで弱 さやずるさがもうちょっと見えるとさらによいかなあ。
大事件があるわけでもなく、悪人もいない、ちょっと単純かな、と思うくらいのストーリーで すが、その実、聞き所・見所・楽しみ方が盛りだくさんの贅沢な作品でした。毎週チケット入 れておいてよかった。