アンデルセンの時代のバレエ
ハンス・クリスチャン・アンデルセンが生きた19世紀前半は、バレエの世界では「ロマンティックバレエ」の時代です。
ロマンティックバレエは、当時ヨーロッパの文芸・思想の潮流であったロマン主義と結びついています。ロマン主義は、理想主義や合理主義では人間の根源的な欲求を満たすことができないとして、個性や悟性を重視します。個人の意識が作られた過程としての歴史や、個人の精神と神秘的なものとの関係を求めることから
異世界への憧憬が生まれました。
バレエは、トゥシューズを取り入れることで、異世界の住人である精霊を目で見える形で表現することができるようになり、ロマン主義的な「異世 界、異国、中世時代」を描いた作品が上演されるようになります。自分とは住む世界が違うものを強く求めた結果、破滅の道をたどる主人公達(大概は男性で す)。しかし、魂の求めるままに生きた彼らは、たとえ現実世界では悲劇的な結末を迎えたとしても、幸せだったのかもしれません。ロマンティックバレエの作 品には、そのような主人公に対して、「現実世界の規範の番人」のようなキャラクターが登場することもあります。「ジゼル」のヒラリオンや「ラ・シルフィー ド」のガーンなどです。
実は、デンマークロイヤルバレエ団・ブルノンヴィルの作品は「ロマンティックバレエ時代の作品ではあるが、ロマンティック バレエの作品ではない」という意見もあります。ブルノンヴィルの振付けは円をモチーフにしていることや、パ・ド・ドゥでの男女のユニゾンなど、「調和」が 表現されているので、現実世界の調和からの逸脱をテーマにしているロマンティックバレエとは相容れない、ということのようです。
見た目で一番分かりやすいのは女性の衣装ではないでしょうか。現在では「ロマンティックチュチュ」と呼ばれている膝よりも長いスカートがロマンティックバレエ時代の衣装でした。「人魚姫」の人魚姫の白いドレスや、1幕のドーロのイメージが着ている衣装がそうです。

「王 女のバレエ」リハーサルシーンで女性が着ているのは「クラシックチュチュ」。19世紀末になり、より華麗になる足さばきを見せやすくするためにスカート丈 が短くなったものです。「アンデルセン」の時代とはずれがありますが、1幕のバレエシーンは現在の私達にとって「いかにもバレエらしい」と思われるものを あえて見せているので、これはこれで良いのだと思います。
また、劇中バレエ『人魚姫』の衣装や振付はどちらかというと現在の創作バレエに近いもの ですが、それでも「アンデルセン」名古屋公演のプログラムに、『人魚姫』について「いかにもロマンティックバレエにありそうな作品ですよね」という意見が 書かれているのは、人間の世界=異世界にあこがれた人魚姫の物語と、そこに反映されている違う世界に住む女性へのハンスの恋が、ロマンティックバレエの テーマに一致している、ということなのでしょう。
バレエは、トゥシューズを取り入れることで、異世界の住人である精霊を目で見える形で表現することができるようになり、ロマン主義的な「異世 界、異国、中世時代」を描いた作品が上演されるようになります。自分とは住む世界が違うものを強く求めた結果、破滅の道をたどる主人公達(大概は男性で す)。しかし、魂の求めるままに生きた彼らは、たとえ現実世界では悲劇的な結末を迎えたとしても、幸せだったのかもしれません。ロマンティックバレエの作 品には、そのような主人公に対して、「現実世界の規範の番人」のようなキャラクターが登場することもあります。「ジゼル」のヒラリオンや「ラ・シルフィー ド」のガーンなどです。
実は、デンマークロイヤルバレエ団・ブルノンヴィルの作品は「ロマンティックバレエ時代の作品ではあるが、ロマンティック バレエの作品ではない」という意見もあります。ブルノンヴィルの振付けは円をモチーフにしていることや、パ・ド・ドゥでの男女のユニゾンなど、「調和」が 表現されているので、現実世界の調和からの逸脱をテーマにしているロマンティックバレエとは相容れない、ということのようです。
見た目で一番分かりやすいのは女性の衣装ではないでしょうか。現在では「ロマンティックチュチュ」と呼ばれている膝よりも長いスカートがロマンティックバレエ時代の衣装でした。「人魚姫」の人魚姫の白いドレスや、1幕のドーロのイメージが着ている衣装がそうです。

「王 女のバレエ」リハーサルシーンで女性が着ているのは「クラシックチュチュ」。19世紀末になり、より華麗になる足さばきを見せやすくするためにスカート丈 が短くなったものです。「アンデルセン」の時代とはずれがありますが、1幕のバレエシーンは現在の私達にとって「いかにもバレエらしい」と思われるものを あえて見せているので、これはこれで良いのだと思います。
また、劇中バレエ『人魚姫』の衣装や振付はどちらかというと現在の創作バレエに近いもの ですが、それでも「アンデルセン」名古屋公演のプログラムに、『人魚姫』について「いかにもロマンティックバレエにありそうな作品ですよね」という意見が 書かれているのは、人間の世界=異世界にあこがれた人魚姫の物語と、そこに反映されている違う世界に住む女性へのハンスの恋が、ロマンティックバレエの テーマに一致している、ということなのでしょう。