デンマークロイヤルバレエ団について

ミュージカル「アンデルセン」に登場する、王立バレエ団=デンマークロイヤルバレエ団は、現在も実在するバレエ団です。2009年5月には9年ぶりの来日公演があります。

「アンデルセン」の中で、マダム・ドーロは王立バレエ団のプリマバレリーナ、ニールスは演出家兼プリンシパルです。
デンマーク王立バレエ団は、「ブルノンヴィルスタイル」という独特のスタイルで知られています。19世紀当時のロマンティックバレエをほぼそのままの形で現代に伝え、最近ではバランシンやノイマイヤーなどの現代作品の上演も積極的に行っているそうです。本拠地は当然、王立歌劇場。バレエ団自体の日本公演にはなかなかお目にかかりません。男性ダンサーの客演は比較的多いようです。

「ブルノンヴィルスタイル」のブルノンヴィルとは、19世紀にデンマーク王立バレエ団で活躍した人の名です。
オーギュスト・ブルノンヴィル、1805年生まれ。オーギュストという名はフランス語ですが、その名の通りフランス人のバレエダンサー、アントワーヌ・ブルノンヴィルの息子で、パリでバレエを勉強した後に25歳で王立バレエ団のバレエマスターに就任します。1936年には、当時トゥシューズを取り入れたタリオーニの振付で大ヒットした「ラ・シルフィード」に刺激され、自らも「ラ・シルフィード」(※)を振付、主演しました。彼の作品は、当時としてはめずらしく、男性ダンサーの見せ場が多いこと、繊細な足さばきと「デンマークの抱擁」と呼ばれる腕のポジションが特徴と言われています。その他、現在日本でもよく上演される作品には「ナポリ」「ゼンツァーノの花祭り」があります。"A Folk Tale"という人間の娘とトロル(小鬼)が入れ替わったために巻き起こる騒動を描いたコミカルな作品もあります。
ところで、1805年はハンス・クリスチャン・アンデルセンが生まれた年です。ハンスと同じ年で、デンマーク王立バレエ団の演出・振付家であり、主演ダンサー。ミュージカル「アンデルセン」のニールスの直接のモデルではないのでしょうが、そういう人が実在した、ということですよね。では、当時ドーロのようなプリマ・バレリーナが存在したのでしょうか。ブルノンヴィルは1830年6月にスウェーデン生まれの女性、ヘレナと結婚していますが、ヘレナがバレリーナだったのかどうかは私の読んだ資料では分かりませんでした。私生活のパートナーでなくても、すぐれた芸術家にはイマジネーションを刺激するミューズの存在は不可欠、とも言えますが・・・。
日本で出版されている本に掲載されている肖像画は晩年のもので、品はよいけれど「この人、本当に踊るんですか?」と言いたくなるようなおじ様でしたが、デンマーク王立バレエ団の公式HPにはちゃんと若いころの素敵な肖像画がありました。

デンマーク王立バレエ団公式HP

※ラ・シルフォード
1831年、フィリッポ・タリオーニが娘マリーのために振り付けし、ロマンティック・バレエのエポックメイキングとなった作品。トゥシューズを用いることで、この世のものではない「精霊」の存在を表現し、以後、トゥシューズはバレエに不可欠な要素となります。タリオーニ版オリジナルは記録が失われてしまい、現在上演されている「ラ・シルフィード」はタリオーニ版を復刻したラコット版とブルノンヴィル版です。
スコットランドの青年、ジェームズは夢で出会った空気の精シルフィードに心を奪われてしまい、結婚式の途中で現れた(ジェームズにしか見えない)シルフィードを追って森へ誘いこまれていきます。1幕の現実世界では婚約者エフィと彼女を恋するジェームズの友人ガーン、「ジェームズとエフィは結婚しない」と予言する魔女マッジなどが登場し、群舞ではスコットランドの民族舞踊もあってお芝居のように楽しめます。2幕は一転して幻想的な森の中の精霊たちの世界です。 shilf2.jpg
ジェームズの衣装はスコットランドの民族衣装。
誰かを抱きとめるように腕を広げたグラン・ジュテがブルノンヴィル版の特徴的な振りです。

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ジェームズを愛しているかのように見えるシルフィールド=空気の精。
しかし、人間ならざる存在のシルフィールドには、本当の意味での感情はない、と言います。